東京都知事候補の一本化?

細川氏は、「脱原発」だから、宇都宮さんには立候補を止めてもらって細川氏に一本化しようなんてことを一部「脱原発」運動団体が決めたとか。たしかに、「脱原発」は、今度の選挙の大きな争点であることは間違いないが、決してそれだけではありません。ましてや、小泉氏や細川氏の「脱原発」なんて、今までの言動からそんなこと信じる方がおかしいと思いますけどね。思い出してくださいよ、あの勇ましい大阪市長の橋下氏が、「脱原発」って主張していたけど、大飯原発の再稼働をあっさり認めたじゃないですか。そのうち「脱原発」も、私の思う「脱原発」は・・・なんて言い出すと思いますよ。

映画作家の想田さんが、「一本化」論議に意見を述べられています。是非、お読みください。

2014年1月22日up

映画作家・想田和弘の観察する日々

第12回 脱原発派候補「一本化」論議に思うこと

『選挙』『精神』などの「観察映画シリーズ」で知られる映画作家、 想田和弘さんによるコラム連載です。 ニューヨーク在住の想田さんが日々「観察」する、 社会のこと、日本のこと、そして映画や芸術のこと…。 月1回の連載でお届けします。

第12回

脱原発派候補「一本化」論議に思うこと

都知事選に細川護煕元首相が「脱原発」を争点に立候補し、小泉純一郎元首相が支援を表明しました。

すると、脱原発派の方々からは「脱原発候補を一本化するために、宇都宮健児氏は立候補を取り下げるべきだ」という意見が多数出てきました。

たしかに、脱原発を目指す立場からいえば、票が割れるのは好ましくありません。僕も脱原発を心から望む人間ですから、候補者同士で意見の摺り合わせができるなら、一本化されるのが理想だと思います。

しかし、です。一本化を主張している方々に、僕は敢えて問いたいのです。

「みなさんは、超能力者なのですか?」と。

僕はこの原稿を1月20日に書いています。告示日の3日前です。しかし依然として、細川・小泉連合の「脱原発」が何を意味するのか、その政策の具体像は分かりません。政策の準備が間に合わず、2度も立候補会見が遅れたからです。

つまり、現時点では細川氏の「脱原発」が本気なのかどうか、細川氏とその側近以外、誰にも分からないはずです。再稼働を容認するのかどうかも判然としません (「電話で細川氏が再稼働を容認しないことを確約した」という方もおられますが、なぜそれを細川氏が公言されないのかは謎です) 。

細川氏の本気度が分からないのに「一本化」を主張されるのは、いったいどういうことなのでしょうか?

舛添要一候補は、去年の12月にラジオで「もんじゅは継続すべき」と発言をしていたにもかかわらず、立候補会見で取ってつけたように「私もずっと脱原発です」と言いました。もし細川氏の「脱原発」が、彼と同レベルの一貫性に欠くものだったら、どうするのでしょうか?

思い出してください。「脱原発」を盛んにアピールしていた橋下徹大阪市長は、土壇場であっさりと大飯原発の再稼働を認めてしまいました。その後の彼は脱原発について、ほとんど口にもしなくなりました。もし細川・小泉連合の「脱原発」が、彼と同レベルのお粗末なものだったら、どうするのでしょうか?

しかも、細川氏は佐川急便事件というかなり大きな爆弾を抱えています。彼が本気で「脱原発」に取り組み、原発に利権を持つ勢力と闘うことになったら、必ず突かれてくるであろう泣き所があるのです(もし僕が原発ムラの人間だったら、細川氏の弱点をネチネチいたぶる作戦を採ると思います)。つまり、たとえ細川氏が当選したとしても、自らの弱点を庇うために「脱原発」政策を一向に進めることができないという状況になることも、充分に考えられるのです。この点についての細川氏の見解も、依然として示されていません。

「脱原発」以外の政策についても、「分からないこと」ばかりです。

言うまでもなく、都知事選で争点になるべき政策課題は、福祉、貧困問題、災害対策、築地市場移転問題、オリンピックなど、多岐にわたります。ところが細川氏は、現時点で「脱原発」以外の政策については一切公にしていません。秘密保護法や集団的自衛権やTPPへのスタンスも分かりません(保護法や集団的自衛権やTPPに批判的だとの報道もありますが、細川氏本人が正式に反対を表明したわけではありません)。したがって、私たちがとても賛同できないような政策を掲げる可能性だってあるはずです(もちろん、そうでない可能性もあります)。つまり、これも現時点では分かりません。分からないのに、「一本化」を主張されるのは、いったいどういうことなのでしょうか?

嫌らしいようですけど、改めて問いたいのです。

「みなさんは、超能力者なのですか?」と。

もちろん、超能力者である可能性は低いでしょう。では、なぜ「一本化」を主張されるのか?

変な言い方ですけど、みなさんは、恋をしているのではないですか。

「脱原発派の東京知事誕生」というイメージに対して。

たしかにそれは私たち脱原発派をワクワクさせます。魅力的です。思わずすべてを投げうって、飛びつきたくなります。それが「恋」というものです。

でも、みなさんは肝心要の、「細川護煕+小泉純一郎」という恋の相手をよく知っているといえるのでしょうか?いや、もしかしたら、かつて恋して、がっかりさせられた相手だったのではないですか?

この問題は、実は「選挙とはどうあるべきか」という問題とも深く関わっているように思います。なぜなら、一本化を主張する方々の多くは、こうも口を揃えるからです。

「政策的には宇都宮さんが一番しっかりしてるし、人物も信頼できる。だけど、今回の選挙はどうしても勝たなくてはならない。そのためには悪魔と手を結ぶことも必要だ」

政策も人物も宇都宮さんが一番なのに、なぜ、細川・小泉連合に一本化せよというのか。その理由は、ひとつしか考えられません。

知名度、です。世間的な人気、です。

しかし、ちょっと冷静に思い出してみてください。

私たちは、選挙があるたびに、「知名度」だけを武器にしたタレント候補が乱立し、当選していく様子を、砂を噛むような思いで眺めてきたのではなかったでしょうか?「これでは民主主義が形骸化する。選挙は人気投票ではない。政策本位で候補者を選ぶべきだ」と訴えてきたのではなかったでしょうか? そういう原則論は、今回だけは、「なし」なのでしょうか?

「なし」だとすれば、それはなぜ? 今回は(いつもと違って)脱原発を訴える(ようにみえる)人気者に勝てる見込みがあるから、でしょうか?

もしかしたら、僕の考えのおよびのつかない理由があるのかもしれません。

いずれにせよ、僕は脱原発運動は(残念ながら)長く果てしない闘いになるのではないかと覚悟しています。なにしろ、原発は日本という国家の中枢――政・官・学・産・マスコミ――を中毒させてきたドラッグのようなものだからです。ドラッグをやめようとすれば、禁断症状で悲鳴をあげる人々があまりにも多いわけで、だからこそなかなかやめられない。私たちは、そういう大きな問題と闘っているのです。

「対症療法」に安易に飛びつくのではなく、本格的に足腰を鍛え、体質を改善し、「根本治療」の道を地道に進んでいくことが必要なのではないでしょうか。

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